漢方薬辞典
さんおうしゃしんとう
三黄瀉心湯
|説明
◯体力があるタイプの、のぼせ・高血圧・イライラに
三黄瀉心湯は、体力のある「熱証」に向く処方で、清熱剤として使われる「黄連解毒湯」と同類の効果を発揮し、のぼせ・発熱性疾患をはじめとした症状に加え、イライラや不眠などの興奮症状などにも処方されます。
◯黄連解毒湯との違いは大黄
「黄連解毒湯」との違いは、三黄瀉心湯に含まれる大黄の瀉下効果です。大黄に含まれるセンノシド類は、腸内細菌によって代謝されると活性成分として現れ、大腸刺激性の瀉下活性作用があります。そのため、下部腸管の充血を引き起こして上部の充血を低下させることで、上部の出血に効果を及ぼすことができます。原典である「金匱要略」にも書かれているように、鼻出血・歯茎出血・喀血・吐血など充血性の出血に適しています。また、大黄に含まれるタンニンが粘膜保護に働くので、胃腸粘膜のびらんにも有効とされています。
◯その他補足・研究豆知識
「黄連解毒湯」と同様に、基本的に長期間の使用は適していません。これは長期連用によって、大腸粘膜内への褐色色素沈着を引き起こし、便秘を助長することがあるためです。また、胃腸の弱い人はセンノシド類などによって腹痛や下痢を起こすこともあるので注意が必要です。なお、長期での服用の場合は四物湯(補血剤)が加わった温清飲の選択を推奨します。