◯炎症が長引くニキビ・鼻炎・蓄膿に

荊芥連翹湯は、血虚がともなう「熱証」に向く処方で皮膚疾患に適しています。特に、鼻や皮膚の慢性炎症によく使用します。

◯消炎・解毒・排膿作用

本処方は「温清飲」をベースとしており、「柴胡清肝湯」と構成の大部分が同様です。違いとしては、柴胡清肝湯から牛蒡子・天花粉を除き、痒み止めとして使われる生薬（荊芥・防風・白芷）、抗炎症や排膿作用として使われる生薬（柴胡・白芷・桔梗・枳実など）が配合され、消炎・解毒・排膿を目的に、より皮膚疾患に特化されています。また、眠気のリスクは低く、慢性的な鼻づまり、蓄膿気味の症状の時に、鼻炎薬として扱いやすい選択肢の一つになります。

◯その他補足・研究豆知識

にきび治療のための漢方薬は、日本皮膚科学会の尋常性痤瘦治療ガイドラインにて推奨度C1に分類されており、炎症の有無に関わらず、にきび全般で有効な選択肢の１つとされています。ガイドラインに従い「他の治療が無効、あるいは他の治療が実施できない状況」における補助的な使い方が推奨されます。なお、甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。