漢方薬辞典
ろくみじおうがん
六味地黄丸
|説明
◯成長・老化に関わる腎陰虚の基本処方
六味丸は「陰虚」に向く処方で、特に「腎」に関する病態に用いることが多い処方です。「腎」とは泌尿器系の役割の他に、発育・成長・生殖・老化に関わりが深い臓器で、「腎精」とは生命エネルギーの基本物質と考えられています。現代の解釈だと、内分泌系全般の物質的基礎に相当するものだと言えるでしょう。
◯老化特有の疲れや火照りを改善
腎が陰虚になると、疲れやすく、手足の裏がほてり、口が渇くなどの虚熱による症状が目立つようになり、腎精の不足が進めば老化現象とされている症状も出てきます。老化現象には「滋養強壮」というイメージがありますが、本処方はまさにそういった言葉に値する生薬構成となっています。補腎益精作用を持つ熟地黄・山茱萸・山薬と、清熱・利水作用を持つ牡丹皮・沢瀉・茯苓は、腎精を補い、虚熱をしずめる効果をもたらします。
◯冷えが強い場合は八味地黄丸も
似た名前の処方に「八味地黄丸(八味丸)」があります。これは六味地黄丸に桂皮と附子を加えた処方であり、冷えや極度な新陳代謝機能の低下が見られる場合に適しています。ただし、八味地黄丸には附子が含まれますので、小児や高齢者への適用は注意してください。