漢方薬辞典

よくかんさん

抑肝散

説明

◯脳や神経の興奮を抑える

抑肝散は「気滞」や「陰虚」に向く処方で、特に脳の過剰な興奮に伴う症状に用いられます。激しい頭痛やふらつき、手足や舌の震え、筋肉のひきつり、痙攣や意識障害などに適応します。抑肝散は小児向けの漢方薬というイメージが強いかもしれませんが、現在では鬱や不安症といった症状を持つ大人にも処方されます。

◯落ち着きと安定を取り戻す

構成生薬としては、釣藤鈎(チョウトウコウ)が熄風・止痙作用により痙攣やふるえを改善し、柴胡・川芎の疏肝解鬱作用によりイライラ・緊張・うつ傾向を精神安定させる効果があります。以上の効能に基づいて、小児のひきつけ・夜泣き・チックなど、瞬間的なイライラや過緊張などに応用することができ、神経不安から発生する不眠等の症状にも適用可能です。この釣藤鈎に含まれるインドールアルカロイドには、睡眠延長作用や血圧降下作用が報告されています。なお、インドールアルカロイドの一種であるイソリンコフィンには血圧降下作用が確認されています。ただし、このイソリンコフィンは、酸性条件下では異性化が起き、リンコフィンに化学変化するため血圧降下作用を持ちません。

◯その他補足・研究豆知識

他の処方でも確認されていますが、生薬の抽出時間や温度、一緒に煎じる生薬との兼ね合いにより、生薬からの成分の抽出に差があることが分かっています。場合によっては効果が減少することがあります。煎じ方に指示がある漢方処方は、これを守ってもらうように伝えましょう。なお、甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。

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