漢方薬辞典
にんじんようえいとう
人参養栄湯
|説明
◯疲労・貧血傾向が強く、眠りが浅い方に
人参養栄湯は「気血両虚」「心血虚」に向く処方です。身体の機能や物質(栄養)が不足・低下している状態に加え、眠りが浅く睡眠の質が低下している方に対し、気血双補作用をもつ補剤を中心に機能面・物質面を補っていく目的で構成されています。
◯大病後の回復期にも有効
本処方は、大きな病気を患った後、体力も抵抗力も低下していて、なかなか全快に至らない場合にも用いられます。著しくエネルギー不足に陥った気虚および気陥には「補中益気湯」。エネルギー不足に加えて貧血傾向の気血両虚には「十全大補湯」。さらに睡眠の質の低下やしつこい咳なども見られる場合には「人参養栄湯」という形で使い分けます。人参養栄湯は、平喘作用をもつ五味子と陳皮で咳止めをしながら、補血安神作用をもつ遠志(オンジ)で睡眠の質をあげ、全快を促す処方構成となっています。
◯その他補足
甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。