◯冷えに弱い虚弱な方の胃痛や胃痙攣に

当帰中湯は、虚弱な方の「寒証」「血虚」に向く処方で、「小建中湯」に当帰を加えて、より補血作用・栄養補給の効果を付加させた構成になっています。当帰・桂皮・生姜で温中散寒効果を促進させ、芍薬・甘草・大棗の鎮痛・抗痙攣効果を用います。

◯温めながら鎮痛し、下腹部周りの血行を改善

「温める芍薬甘草湯」のイメージで使用でき、冷えからくる痙攣性腹痛に用いられます。小建中湯の膠飴に代えて活血作用を持つ当帰を加えている本処方は、月経痛・下腹部痛が強い場合にも血行を良くすることで痛みを改善させます。

◯寝汗が目立つ場合は「黄耆建中湯」

寝汗が目立つ場合は、固表作用を持つ黄耆を加えた「黄耆建中湯」が良いでしょう。皮膚の締まりを改善し、汗のコントロールを可能にします。

◯その他補足

甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。