◯脳や神経の興奮に加え、鬱や悪心嘔吐が目立つ場合に

抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散に陳皮・半夏を加味した処方です。「気滞」や「陰虚」に向く処方で、特に脳の過剰な興奮に伴う症状に用いられます。激しい頭痛やふらつき、手足や舌の震え・筋肉のひきつり・痙攣や意識障害などに適応します。さらに理気・止嘔作用を持つ陳皮・半夏によって、抗うつ効果に加え、悪心嘔吐・腹満などの胃腸症状が出る場合にも使用可能です。

◯抑肝散との違い

抑肝散に陳皮と半夏を加えた本処方は、胃腸をカバーする効果があるため、胃腸がやや弱い方でも使用できる内容になっています。

◯心身ともに興奮を抑え、落ち着きと安定を取り戻す

構成生薬のうち、釣藤鈎には熄風（そくふう）・止痙作用による痙攣やふるえの改善、柴胡・川芎は疏肝解鬱作用によるイライラや緊張うつ傾向を精神安定させる効果があります。以上の効能に基づき、小児のひきつけ・夜泣き・チックなども含む瞬間的なイライラや過緊張などに応用することができ、神経不安から発生する不眠等の症状にも適用可能です。

◯その他補足

甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。