漢方薬辞典

はいのうさんきゅうとう

排膿散及湯

説明

◯熱性の強い化膿性疾患や蓄膿に

排膿散及湯は「熱証」に向く処方で、特に化膿性疾患の排膿が不十分な場合に用います。消炎作用のある甘草・芍薬と、排膿作用のある枳実・桔梗を利用し、疼痛を伴う化膿性の腫れ物や蓄膿症、歯槽膿漏などに用いられます。「排膿散及湯」は、「排膿散」と「排膿湯」の合方であり、吉益東洞という人物が考案したとされています。

◯時期に関わらず服用可能

桔梗・枳実・芍薬で構成された「排膿散」は、瀉性・寒性(消炎性)が強い構成になっています。桔梗の排膿作用に加え、枳実・芍薬が疼痛を伴う化膿・炎症性のしこりなどへの有効性など、症状の中期(化膿のピーク時)に適しています。一方、桔梗・甘草・生姜・大棗で構成された「排膿湯」は、化膿性炎症の初期や後期など、ごく軽度なものを目標にしています。そのため、上記二つを合わせた「排膿散及湯」はあらゆる時期に使用可能です。ただし清熱作用を伴うため、著しく「寒虚」傾向が強い方への使用は避けるべきでしょう。

◯その他補足

なお、甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。

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