漢方薬辞典

しょうさいことう

小柴胡湯

説明

◯長引く風邪の中途半端な症候に

小柴胡湯は「半表半裏証」に向く処方です。半表半裏とは急性でも慢性でもない特有の症候です。主に往来寒熱(発熱・寒気を交互に生じる状態)、胸脇部の苦しさ、口渇、口が苦いなどの症状があります。特に、風邪を中心とした感染症から完全回復できず長引いてしまった際によくみられ、軽度の熱感、悪心、胸苦しさ、風邪の後期の諸症状などがみられる場合に、本処方を用います。

◯感冒症状の有意な改善が示唆

発病後5日以上経過した感冒患者を対象とした二重盲検群間比較試験では、小柴胡湯投与群はプラセボ群に比較して、有意な感冒症状の改善度を示唆しました。また構成生薬として、止咳・止嘔・化湿作用を持つ半夏・生姜と、補気健脾作用を持つ人参・大棗・炙甘草の配合により、胃腸虚弱や悪心嘔吐、咳嗽を呈する場合にも使用できます。

◯その他補足

臨床応用でも慢性肝炎における肝機能障害や慢性胃腸障害などに用いられます。しかし、間質性肺炎を引き起こす副作用が知られており、特に、同じく肝炎に使用され間質性肺炎を起こす可能性があることが知られているインターフェロンとの併用は禁忌です。また、甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。

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