漢方薬辞典
かっこんとう
葛根湯
|説明
◯汗をかかせて熱を下げる
葛根湯は、体力がある「表寒証」の人に向く薬で、風邪の初期などの頭痛、発熱といった症状の方に多く処方されます。葛根湯は発汗・利水作用を強めるために、桂枝湯に麻黄・葛根を加えた処方です。これらの生薬により、葛根湯は発汗を強く促して熱を下げると言われています。いわゆる風邪をはじめとした感染症や環境要因(風・寒・湿・熱・暑・燥)によって生じる初期の症候に向いています。
◯体力は中程度、汗はなく強張りが目立つ場合に
風邪の初期症状によく使われるのが、桂枝湯・葛根湯・麻黄湯の三つの処方です。一般的には、風邪といえばまず葛根湯を思い浮かべることが多いと思いますが、体力と汗の状況によって、最適な使い分けが必要です。悪寒がありながら熱っぽく、脇の下にじんわりと汗をかいて、体力が低下している状態なら「桂枝湯」。脇の下が汗ばんでおらずサラッとした状態で、比較的体力があるものの、背中に強ばりがあれば「葛根湯」。脇の下の自然発汗が全くなく、体力がある場合は「麻黄湯」と判断することができます。
◯寒気を感じた時に
風邪によく使われるイメージの葛根湯ですが、その効能を生かして寒気を感じ始めた時にも有効です。身体を温めて血管を拡張して発汗を促すため、冷えから発生する肩こりや頭痛にも応用することができます。
◯その他補足
なお、甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。また、麻黄に含有するエフェドリンは交感神経刺激作用や中枢神経興奮作用も知られており、高血圧・心筋梗塞や狭心症の既往や危険のある方、高齢者などには原則として用いない方が良いでしょう。