漢方薬辞典

ほちゅうえっきとう

補中益気湯

説明

◯疲労・痩せすぎなど、エネルギー低下が目立つ方に

補中益気湯は「気虚」「気陥」に向く処方で、疲れやすい・元気や気力がない・食欲不振・夏バテ・筋力低下・痩せすぎのような状態に用いられます。補中益気とは、お腹の機能を高めながら、気を補い、元気を取り戻していくことを指します。そのため、気虚による抵抗力の低下で風邪などの感染症にかかりやすく、治りにくいといった方のための予防薬としても用いられます。

◯健胃とエネルギーの底上げ

構成生薬としては、代表的な補気剤である「四君子湯」から茯苓が除かれ、気を補う黄耆と昇提作用の升麻と柴胡が追加されています。また、陳皮を加えることで、大棗・甘草・生姜と共に滋養健胃がより強く作用するようにしています。

◯四君子湯との違いは「昇提作用」

「四君子湯」は気虚による食欲不振や消化不良に対し、補気健脾を目的としています。一方、派生処方の補中益気湯は、補気健脾に加え、「昇提」を目的にしています。昇提作用とは低下したエネルギーを上昇させるという意味であり、東洋医学の独特な考え方を体現しています。例えば、アトニー状態(筋肉の緊張が衰え、消失した状態)に対して筋肉の緊張を高め、下垂した内臓を引き上げるなどの効果も期待できます。強い疲労感、病後・術後の衰弱などには、四君子湯ではなく、昇提作用を持つ補中益気湯の服用を推奨します。

◯その他補足

なお、甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。

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