漢方薬辞典
はんげこうぼくとう
半夏厚朴湯
|説明
◯神経質で、咽頭部や胸の詰まり・悪心嘔吐・咳払いがある方に
半夏厚朴湯は「気滞」や「痰証」に向く処方で、理気・解鬱作用を持つ、半夏・厚朴・紫蘇葉を中心とした構成になっています。軽度の抗うつ作用も備えており、ストレスからくる悪心嘔吐や胸やお腹の膨満に対し、詰まった気を流し、停滞を改善させる効能が期待できます。また湿痰にも有効で、止咳・平喘作用により、軽度の咳嗽や呼吸困難にも用いることができます。
◯理気・解鬱・制吐・去痰作用で気分を正常に
本処方は「小半夏加茯苓湯」に理気・解欝作用を持つ厚朴と紫蘇葉を加味したもので、より神経症が目立つ方に向く処方になっています。さらに制吐・去痰作用を持つ半夏や厚朴が咽頭部や胸のつかえを除くことで、気分を落ち着かせることができます。
◯その他補足・研究豆知識
また半夏は、3,4-ジグリコシリックベンスアルデヒドに由来するえぐ味やシュウ酸カルシウムの針晶による刺激感を有しており、半夏の内容量が多い半夏厚朴湯は、これらを感じやすい可能性があります。そのため半夏の刺激性を緩和する目的で、必ずと言っていいほどペアで生姜が配合されています。あまりにも苦みやえぐ味を感じる場合は、生姜の配合量を増やしたり、生姜湯と一緒に服用することをお勧めします。