漢方薬辞典
しょうようさん
逍遥散
|説明
◯ストレス由来の婦人科系疾患に
逍遥散は「気滞」(ストレス)から生じる様々な症状に対して向く処方で、特に中年以降の婦人(更年期)などによく使われます。
◯疏泄作用で精神安定と自律神経の機能調整
本処方の「肝気を疏泄(そせつ)」する作用として、精神・情緒を安定させる意味と、②自律神経系の機能調整の意味を持ちます。気血両虚(気も血も消耗して不足状態)である栄養バランスや元気がやや低下した虚弱者に向いています。また、過緊張による腹鳴、腹痛、下痢などを起こす肝脾不和にも有効です。長期間併用しても弊害が少ない処方です。
◯過興奮が目立つ場合は、加味逍遙散
名前が似ている加味逍遙散は、本方に牡丹皮と山梔子を加えた処方です。脳や自律神経の過興奮によって心肝火旺が起こり、イライラや怒りやすい状態が強い場合には、熱を冷ます瀉火作用の牡丹皮と山梔子が加味された加味逍遙散が適しています。
◯その他補足
なお、甘草が含まれていることから、多量服用による偽アルドステロン症などの副作用には十分注意しましょう。